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【書評】リスクに背を向ける日本人

リスクに背を向ける日本人

山岸俊男+メアリー・C・ブリントン

 

日本・アメリカ両方の大学で経験を持つ日本人とアメリカ人の社会学者2人が、日本人とアメリカ人の行動原理の違いを対談形式で比較し考察した本です。「アメリカ人は~」、「日本人は~」という言葉が多用されているので、一般化しすぎていると感じるかもしれません。本書は個々が持つ元々の気質の違いではなく、社会全体の仕組みが個人の判断や行動にどのような影響を与えているかついて詳しく述べており、日本とアメリカの違いについて理解するのに役に立ちました。

 

アメリカのみならず、海外居住経験があり、帰国してから違和感や窮屈さを感じている人にはおすすめです。本書にはそれらの理由を解き明かすためのヒントが多く含まれていると思います。

 

まず著者は「日本人のリスク回避傾向」について述べます。日本人がリスクを回避しようとする理由は、日本社会では失敗するリスクが大きすぎるからです。ここでいうリスクというのは、「レールを外れた」ときに失うものこと大きさのこと。アメリカでは例えばリストラは当たり前のことだけれど次のチャンスがあるので、失敗に対するリスクは低い。セカンドチャンスが保障されているアメリカでは、労働市場セーフティーネットになっていると言えます。

 

セカンドチャンスを持っていることは重要なことです。仕事にしても人間関係についても、失敗したり嫌われたとしても大丈夫な環境がなければ、人間は自然とリスクを回避する行動をとってしまう。その結果、今の日本の社会では「何もしない」「目立たない」という行動が、多くの人にとって最適のストラテジ-になってしまっている。

日本人にとっての無難な行動は、周り人から非難されたり嫌われたりしない行動。良く事情は分からない時には、とりあえずそういう行動をとっておく。そういう行動をとっていると、本当に欲しいものを手に入れることができなくなるというコストはあるけれど、周りの人たちから爪弾きにされてしまうという、もっと大きなコストを避けることが出来るから。

アメリカ人にとっては、今周りにいる人たちから嫌われても、別のチャンスがあると考えているから、自分の欲しいものを我慢してまで嫌われるのを避けるというデフォルトの行動はあまり賢い行動ではない。それよりは、他人から非難されたり嫌われたりするかを第一に考えるのではなく、自分の意見を主張し、自分の欲しいものを選ぶ方が、そうした社会では賢い行動原理になる。(p.100)

タイトルの「リスクに背を向ける日本人」ミスリードさせてしまうかもしれません。本書は「日本人気質」を批判するるのではなく、「リスクに背を向ける日本人を生みだす日本の社会構造」と「リスクにとるアメリカ人を生みだすアメリカの社会構造」を社会学という学問を使って対比し、現在の日本社会が抱える問題を浮き彫りにさせていきます。著者が日本人男性とアメリカ人女性の対談形式だったことも、各トピックについて様々な角度から述べられていたという点で、とてもよかったと思います。

 

リスクに背を向ける日本人 (講談社現代新書)

リスクに背を向ける日本人 (講談社現代新書)