This is Why I Write.

バスケ関連・書評・旅ログを中心に書いています。

【書評】Amazon 世界の最先端の戦略が分かる

 
アマゾンを知ること=これからの世界を知ること

本書はアマゾンが行なっている多種多様なビジネスについて、網羅しようとした一冊である。
アマゾンは秘密主義を貫いている会社で、情報があまり外に出てこないらしい。
(サーバ等の社内で使われているシステムも全て自社で作っている)
そんな中で、著者の成毛眞氏は沢山の情報を集め、この一冊にまとめた。
詳しい情報が明かされていない部分については、
集めた情報と経験に基づいて、著者が推測し解説をしている。
 
アマゾンという1つの企業が、今の世界にどれほどの影響を与えているかを説明する。
通販は楽天派!という人もいるかもしれないが、アマゾンはもはや通販会社ではない。
アマゾンと関わらず生活している人はいないのでないかと成毛氏は推測する。
企業はAWSのサーバを使い、小売はアマゾンのFBA(ネット通販のインフラを提供するサービス)や
マーケットプレイス経由でモノを売る。
個人はAMAZON PRIMEで音楽を聴いたり映画を見る。
アマゾンが提供しているサービスは多種多様すぎて(しかもどれも業界トップクラスも多い)
もはや何の会社か分からなくなりつつある。
 
ちなみに、CEOのジェフ・ベゾス氏は自らの会社をロジスティクス企業と呼んでいる。
ロジスティクスとは「兵站」であり、必要な物資を必要な場所に届けることを意味する。
顧客が求めるモノ・サービスを適時に且つ出来るだけ安価に届ける、
これこそがアマゾンが目指していることだろう。
 
設立以来アマゾンは、その為の投資を大規模かつ物凄いスピードで行ってきた。
なにしろ1997年に上場してから一度も株主配当を行っていない。
創業以来は大きな利益は計上せず、全て倉庫などの設備投資に費やしてきたのだ。
 
アマゾンの強みはこの設備投資と、また、それを可能にする莫大なキャッシュフローであるという。
今もアマゾンは利益が低いと言われているが、
それは設備投資に大金をつぎ込んでいるから。(配当はないが株価は堅調だ)
本書内のアマゾンのキャッシュフロー関連データを見ると、
投資から得たキャッシュを示す指標である投資キャッシュフローは、
2017年は約1兆円のマイナスであった。
つまり、アマゾンは2017年の1年間で1兆円もの新規投資を行ったのである。
 
世界中を探しても、年間1兆円の設備投資が出来る会社は他に存在しないだろう。
アマゾンと他者の差は開くばかりだ。
 
他を寄せ付けない物流システム、ITインフラ、購買データなど構築したアマゾンは、
それらの強みを生かして新たな業界に参入していく。
いわゆる「アマゾン・エフェクト」だ。
ナスダックには「アマゾンによる死者リスト」というのがあるらしい。
大量に空売りされている企業がこのリストに載る。
空売りされているということは、死が近いという意味なのだ。
 
ちなみに、私個人的にはラストワンマイル(配送センターから家までの距離)の競争で、
今後どのような展開があるのかに興味がある。
 
日本ではヤマト運輸の労働問題が取りざたされていたり、
配送料が上がったりと、諸々の問題がある。
そこにアマゾンがどうやって入ってくるのか。
ラストワンマイルもすべて自分たちでやるようになったら、
それは人手で?それともドローンで?
(都会で大量のドローンが飛んでいるのはあまり想像したくないが)
現状日本では、外部(ヤマトや日本郵政)を使った方が安上がりらしい。
人手不足による賃金高騰や技術の発達が、
そのバランスをどのように変えて行くかに注目したい。
 
「超国家的」な存在になった(そしてこれからもっと大きくなるだろう)
アマゾンが作り出すこれからの世界について知ることの出来る一冊だ。
 

(参考) ドローンによる配達実験↓↓